2020 年 6 巻 1 号 p. 32-34
がん細胞は正常細胞と比較して活性酸素種(ROS)レベルの変化に脆弱である。そこで胃粘膜正常細胞とそのがん様変異株の細胞増殖に対して、タウリンの抗酸化作用がどのような影響を及ぼすのかを検討した。ラット胃粘膜上皮細胞RGM1 とそのがん様変異株RGK1 を用いて、培養後の各細胞のプレート内に0-500mM のタウリンを添加し、24 時間培養して細胞毒性試験を行った。続いて同様に培養したプレート内で対照群と任意の濃度に定めたタウリン添加群に分け、約18 時間培養後、細胞全体とミトコンドリア中のROS 濃度を測定した。200mM のタウリン濃度ではRGM1 の細胞生存率に変化はなく、RGK1では有意に低下していた。またその濃度下でのRGK1 の細胞全体とミトコンドリア中のROS 濃度は対照群と比較しタウリン群でそれぞれ有意に減少していた。この時、がん細胞内ではROS レベルの低下によるアポトーシスが発生した結果、がん細胞が減少していたものと推察される。