抄録
腎臓癌は他の固形癌に比べて、抗悪性腫瘍薬の効果が低く、化学療法に対する抵抗性を有している。タウリンは生体内に豊富に存在するアミノ酸の一種であり、医薬品として心不全や肝疾患等に対して使用されている。近年、タウリンが悪性腫瘍に対して抑制効果を示すことが見出され、新たな化学療法剤の候補として注目されている。本研究では、ヒト腎臓癌由来培養細胞を用いて、タウリンの腎臓癌治療薬としての有用性について検討し、タウリンが腎臓癌細胞の増殖ならびに細胞遊走を抑制することを見出した。腎臓癌の悪性化を抑える治療薬の候補となりうる可能性が示唆された。