2023 年 12 巻 2 号 p. 110-116
近年,骨髄非破壊的前処置の普及,支持療法の向上により高齢者に対する同種幹細胞移植が増えている。しかし,その適応を客観的に判断するのは難しく,多くは主治医の経験的判断に委ねられている。今回,高齢者に対する移植適応の判断材料として,高齢者機能評価スクリーニングツールのG8 screening Toolが有用か,当院の症例を用いて後方視的に検討した。2011年1月から2021年12月に初回の同種幹細胞移植を受けた65歳以上の54例を対象とし,G8 screening Toolのスコアと退院時の生死との関連性を検討した。スコアは生存退院群と死亡退院群の間で有意差を認めた。また,ROC曲線から得られたcut off値10.0以上の群,未満の群で検討したところ,生存率に有意差を認めた。G8 screening Toolのスコアは高齢者に対する移植の可否の判断に有用であり,予後予測にも利用できると考える。