2023 年 12 巻 2 号 p. 103-109
造血細胞移植後晩期障害の中でも二次がんは頻度が多く,生命予後に影響するため早期発見が重要である。移植後二次がんは,移植後リンパ増殖性疾患,移植後骨髄系腫瘍,固形がんに分類される。リンパ増殖性疾患は移植後1年以内の発症が多く,発症割合は自家移植後0.1%,同種移植後0.8%で,発症リスク因子はT細胞除去,再生不良性貧血,非血縁ドナー,HLA不一致,臍帯血である。骨髄系腫瘍は移植後数年以内の発症が多く,発症割合は自家移植後2.3%,同種移植後0.4%で,5番や7番の染色体異常が3割を占め予後不良である。固形がんは移植数年後から発症が継続する。発症割合は同種移植後20年で4%であり,口腔がん,食道がん,大腸がんの頻度が多く,一般人口と比較した発症リスクは7-16倍で,発症年齢が若い。多くのがん種に共通する発症リスク因子は慢性GVHD,免疫抑制剤の長期使用,放射線照射歴,移植時若年または高齢である。