2023 年 12 巻 2 号 p. 94-102
悪性リンパ腫に対する造血幹細胞移植は,再発リスクの高い一部の病型の初回治療後の地固め療法,もしくは再発・難治性症例に対する治療として行われる。いずれの病型または治療時期においても化学療法感受性例に対して行うべきもので,化学療法抵抗性例での予後改善効果は乏しい。びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)においてはpolatuzumab vedotin,ホジキンリンパ腫と末梢性T細胞リンパ腫においてはbrentuximab vedotinがそれぞれの病型の初回治療の一部に採用されるようになり,またDLBCLについては再発・難治性症例に対してCAR-T細胞療法も導入されるようになった。このような新規治療の登場により悪性リンパ腫への造血幹細胞移植の位置付けは変わり続けており,常に適応を見直していく必要がある。