日本造血・免疫細胞療法学会雑誌
Online ISSN : 2436-455X
症例報告
ウイルス血症陰性移植後ヒトヘルペスウイルス-6B脳炎:foscarnet先行投与との関連
森 正和中瀬 浩一渡部 真志三瀬 和人兵頭 和樹上田 怜橋田 里妙板楠 今日子宮﨑 幸大名和 由一郎
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2023 年 12 巻 3 号 p. 194-199

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抄録

 39歳男性。汎血球減少を契機に骨髄異形成症候群と診断された。Azacitidineにより完全寛解に到達し,非血縁者間骨髄移植を受けた。移植後day 4から抗菌薬不応の高熱および皮疹が出現したが,day 9から開始となったhydrocortisoneによって軽快した。この際にサイトメガロウイルス(cytomegarovirus,CMV)感染症の予防を目的としてfoscarnet(FCV)が開始となった。Day 23に全身性痙攣発作をきたしたため,FCVはヒトヘルペスウイルス-6B(human herpesvirus-6B,HHV-6B)脳炎に対する治療量へと増量された。同日に提出されたPCR検査結果は血漿ではHHV-6B DNA陰性で,脳脊髄液からのみHHV-6B DNAが検出されHHV-6B脳炎の診断が確定した。脳脊髄液のPCR陰性化が確認された後,FCVは合計3週間継続して終了となった。

 FCV投与中にHHV-6B脳炎を合併した場合には血漿PCRが陰性化することがあり,血漿検体のみではHHV-6B脳炎を見落とすピットフォールに陥る可能性がある。

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© 2023 一般社団法人日本造血・免疫細胞療法学会
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