日本造血・免疫細胞療法学会雑誌
Online ISSN : 2436-455X
総説
次世代シークエンシングに基づくHLA DNAタイピング法の特徴と移植医療への応用
椎名 隆
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2023 年 12 巻 3 号 p. 133-140

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抄録

 膨大な数のHLA遺伝子型を判定するDNAタイピング(HLA DNAタイピング)は,HLA適合造血細胞移植の実施に欠かせない臨床検査技術である。2010年代に開発された次世代シークエンシング(NGS)技術に基づくHLA DNAタイピング(NGS-HLA)法は,遺伝子全長レベルで既知,新規およびnullアレルを効率よく検出する比較的新しいHLA DNAタイピング技術である。この技術は,現在の主流である高解像度HLA DNAタイピング法(現行法)よりもさらに正確なHLA多型情報が得られるため,造血細胞移植医療分野に新たな有益情報を提供する可能性がある。この優れたタイピング技術は,2020年3月から日本骨髄バンクを介した患者HLA確認検査やドナーHLAオプション検査に導入されており,コーディネート期間の短縮や移植成績の向上が期待されている。本稿では,造血細胞移植におけるNGS-HLA法の利点や将来展望について海外からの最新情報を含めて概説した。

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© 2023 一般社団法人日本造血・免疫細胞療法学会
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