2023 年 12 巻 3 号 p. 148-156
2019年から本邦でもCAR-T細胞治療が施行可能となった。再発・難治性のB細胞性急性リンパ性白血病,びまん大細胞型B細胞リンパ腫,濾胞性リンパ腫,多発性骨髄腫の治療アルゴリズムにCAR-T細胞療法が追加された。しかし,2023年1月時点でいずれかのCAR-T治療を実施可能な施設は43施設(71診療科)にとどまり,血液内科研修施設687診療科と比較して未だ少ない。このため,各地域で紹介元医療機関とCAR-T実施施設の緊密な連携が欠かせない。現時点において,実臨床で押さえておくべきCAR-T細胞治療のポイントを以下のテーマについてまとめた : CAR-T製剤ごとの適応疾患の違い,先行治療からのwashout period,リンパ球アフェレーシス,cytokine-release syndrome(CRS)とimmune effector cell-associated neurotoxicity syndrome(ICANS)の管理方法,遷延性血球減少と低ガンマグロブリン血症,CAR-T後再発と予後因子,長期フォローアップと地域連携。CAR-Tが有効な症例の選択,最適なアフェレーシスと輸注タイミングについてさらなる経験の集積が必要である。