東京未来大学研究紀要
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研究ノート
雑誌『令女界』における小野さつき訓導殉職についての考察
佐藤 久恵
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2020 年 14 巻 p. 197-202

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抄録

 本稿では、雑誌『令女界』(大正11(1922)年9月号)を中心に、小野さつき訓導殉職について書かれた記事について考察した。特徴は、『令女界』に掲載された6点の文章のうち、学生時代の小野さつき訓導を直接知る人の記述が3点、掲載されているということである。当時の『令女界』の読者層が女学生くらい以上の年齢層にあったため、宮城県高等女学校内の愛読者を集め、レポートさせる企画を掲載したこと、雑誌『少女の友』『婦人世界』と誌面上の差別化を図ったとも考えられる。当時の殉難事件への反響と亡くなった小野さつき訓導への礼賛が世間の中で凄まじい一方、『令女界』では、質素で素朴な人柄と殉職につながらざるを得なかった気性とが記されている。2021(令和3)年には、小野訓導の殉難後100 年を迎えるが、この事件が現在に至ってどのような意味を持つかということについては継続して考察してきたが、今回は『令女界』の掲載文を考察の軸とし、1922(大正11)年9月、同時期に発行された他誌と比較をした。『令女界』においては等身大とも言える「小野さつき」が描かれたが、その後『令女界』は当時の社会が批判的に描いた「女学生」を紙上に優先させ、「聖職者教師像」に結びつけて描くことを避けたのではないかと考えられる。

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