2021 年 15 巻 p. 161-169
児童発達支援に従事する療育者に対して行なった自由記述調査をKJ法に基づき分析した。療育者は日々の療育で保護者と関わる中で、【保護者への支援・やり取りに対する困難感】を抱えていること、療育者自身はその要因として【保護者の要因】、【療育者自身の要因】、【物理的な要因】の3つをとらえていること、中でも【保護者の要因】が最も中核的な要因であることが明らかにされた。これらの結果に基づき、 【保護者への支援・やり取りに対する困難感】は一次的困難感として位置づけられ、【保護者の要因】、【療育者自身の要因】、【物理的な要因】の3つは一次的困難感の要因であるとともに、それ自体が二次的困難 感として位置づけられることを論じた。また、それら療育者の困難感は療育者の支援動機から出発し、支援常識の限界に直面することで一次的困難感の意識を超え、二次的困難感としての支援問題を成立させていくことを論じた。