沖縄島南西部の安里川と国場川に挟まれた沖積低地(那覇低地)において,掘削長7.50 mのボーリングコア試料を採取し,堆積相の観察,放射性炭素年代測定,XRFコアスキャナによる元素濃度分析を行った。沖積層は標高−0.45 mを境として下部層,上部層に区分される。下部層は泥質な内湾あるいは干潟の堆積物で,約8,000~4,000年前頃に堆積したと推定される。上部層は砂層やサンゴ礫の集積層がところどころに挟在し,粒度変化が激しい。また,下部層に比べて上方累重速度が遅く,堆積と侵食が繰り返される河口域の干潟の環境で堆積したと推定される。硫黄の含有量が顕著に減少することから,コア試料の掘削地点周辺では遅くとも1,777 – 1,443 cal BP頃までには,平常時に潮汐の影響を受けなくなった可能性がある。