1997 年 49 巻 3 号 p. 163-170
インド半島東海岸のクリシュナデルタにおいて, 表層堆積物の年代測定と地形学的な調査を行った。約2,200年前の海岸線はクリシュナ河口から40km以上内陸側の浜堤群の内縁付近にあり, 約250年前までに平野の前縁部は約18km前進した。さらに最近の約250年間に5km以上の平野前縁の加速的な前進があった。この事は, インド半島東海岸の沖積平野が, 完新世海面高頂期以来の海面変化と関連して形成されてきたとする従来の見解とは調和しない。最近の急速な海岸平野の拡大の原因には, 作業仮説として流域環境への人為的な影響が考えられ, 詳細な議論のためにはさらに調査が必要である。