天理医療大学紀要
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急性期・亜急性期にある脳血管疾患患者の家族の抱く 病気に関する不確かさ
林 みよ子臼井 千春
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2020 年 8 巻 1 号 p. 27-35

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抄録

本研究は,脳血管疾患患者の家族の病気に関する不確かさが急性期から亜急性期にかけてどのように変化するのかを量的に明らかにするために,脳血管疾患によって後遺症を残した患者の家族を対象に,独自に作成した自記式質問紙を用いて縦断的量的記述研究を行なった。急性期(発症後集中治療室入室3日目頃:T1)と亜急性期(一般病棟転棟後2週間以内:T2)の家族の病気に関する不確かさは,日本語版病気に関する不確かさ尺度—家族用(MUIS-FM-J)で測定した。質問紙は,T1で12名,T2で11名から回収され,このうち2時点ともに回答した7名を分析した。

対象者は,家族は平均67.7歳,5名は配偶者,全員が発症前から患者と同居,患者は平均66.7歳で,ほとんどが脳梗塞,T1からADL自立度は比較的高かった。

対象者7名のMUIS-FM-Jは,T1で84.00,T2で82.14であったが,有意差はなく,個人特性とも有意な関係はなかった。MUIS-FM-J各項目の2時点の得点変化率では,介護や家族の将来に関する不確かさは低下,医療者に対する信頼や心強さは上昇していた。脳血管疾患患者の家族の病気に関する不確かさは,その発症の特徴から急性期に高く,その後の回復過程過程でも変化する環境の中で複雑に変化すると推測された。これらのことから,急性期から患者の身体状態や介護など家族の将来に関することに対する情報提供を中心とした積極的な関わりを長期的に行うことが重要であると考えられた。今後は,急性期から在宅介護移行後にわたって脳血管疾患患者の家族の病気に関する不確かさを縦断的に追究する必要性が示唆された。

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© 2020 学校法人天理よろづ相談所学園 天理医療大学
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