Thermal Medicine
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早期前立腺癌に対するアンドロゲン除去療法併用高温度療法における温熱増感薬パルテノライドの効果 : 病理組織の変性を主眼として
小柴 健林 幸子相原 正弘佐藤 威文重城 裕鈴木 隆大溝口 秀之畑下 昌範中條 弘隆志村 哲
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2013 年 29 巻 2 号 p. 47-58

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抄録

パルテノライド (parthenolide : PTL) はNF-κB阻害剤として温熱による癌細胞死を誘導する増感作用があることが知られている. 本研究においては早期前立腺癌に対する経尿道的マイクロ波高温度療法 (TUMT) の治療効果を高める目的で, その前後にPTLの投与を行い, その病理組織所見をPTL使用前の症例のものと比較検討した. 対照群と同じくTUMTに先だって3か月間のアンドロゲン除去療法 (ADT) を施行して前立腺体積の縮小を図った. PTLは1日量0.5 mg (2回分服) の服用をTUMTの, 当初は30日前, 次いで15日前より開始し, 45日間の連続投与を行った. PTL投与を行った45例の臨床病期はT1-2N0M0, TUMT施行前の前立腺体積の縮小度は34.6%であった. TUMT施行後3か月を経過下した後に経尿道的前立腺切除術 (TURP) を施行し, その全切片の病理組織学的検索を施行した結果, 45例中41例において癌細胞は消滅していた. TURP切片中に癌細胞の遺残を認めた4例のいずれにも退行変性が認められ, 内3例は癌細胞として生存が可能と判定されたが, 残りの1例の癌細胞はいずれ消滅するであろうと判定された. PTL使用前の75例 (癌細胞の遺残16例, 生存可能6例) と比較すると, いまだ症例数は少ないが, PTLの癌細胞に対する温熱増感効果は顕著であった.

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© 2013 日本ハイパーサーミア学会
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