東海北陸理学療法学術大会誌
第23回東海北陸理学療法学術大会
セッションID: C007
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下肢4関節置換術後に人工股関節再置換術を施行した関節リウマチ患者の歩行能力の検討
*村松 由加里佐々木 嘉光桒原 理恵
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抄録
【はじめに】関節リウマチ(RA)で両側の人工股関節(THA)、人工膝関節(TKA)の4 関節置換術後に人工股関節再置換術を行った患者の歩行能力に関する報告は少ない。今回、下肢4関節置換術後、人工股関節再置換術を施行した症例に対して運動療法を施行し、歩行能力が改善した症例を経験したので報告する。なお、今回歩行能力は藤林の分類を用いて検討した(3d:屋内歩行可能、4a:2~3歩のみ可能、4b:車椅子使用可能)。
【症例紹介】56歳女性。31歳時RAと診断。37歳で両側THA、38歳で両側TKA、48歳で右人工股関節再置換術施行。H19年1月中旬に左人工股関節再置換術を施行し、リハビリ継続目的で3月中旬に当院入院。
【入院時現症(H19年3月中旬)】安静時BP140/98mmHg、PR105拍/分。身体所見は手関節・手指尺側偏位、膝関節外反、足関節外反偏平足。ROM(Rt/Lt)は股関節屈曲80/75、膝関節屈曲90/70で、MMTは両上肢3~4レベル、両下肢3~4レベル、握力は測定不可。基本動作は起居動作・座位自立で、立位・移乗は両手で手すり等把持して自立。移動は車椅子にて自立。ADL動作はFIM85点で歩行は不可(藤林の分類では4bに該当)。心電図所見では上室性期外収縮と洞性頻脈を認め、生化学検査ではCRP2.23であった。今回の報告についての説明は口頭及び紙面で行い同意を得た。
【経過】H19年3月中旬より理学療法(ROM訓練、筋力増強訓練、立位保持訓練)、作業療法(ROM訓練、筋力増強訓練、ADL動作訓練)開始。訓練は1日1時間20分、週6回実施した。運動強度は%HRの60%(140拍/分)を上限とした。PT開始1週目より立位保持訓練(1分程度可)開始。2週目には5分間の立位保持がHR125拍/分で安定したため、足踏み訓練を開始(10秒程度でHR140拍/分まで上昇)。4週目には足踏み訓練が1分可能となり、5週目頃より前腕支持型歩行車で歩行訓練開始(10m)。徐々に歩行距離を延長し、10週目には100m可能となった。約5ヶ月間の訓練でMMT両上肢4レベル、両下肢4-~4レベルとなり、FIMは91点で前腕支持型歩行車使用にて屋内歩行自立(藤林分類3dに該当)となった。生化学検査ではCRP1.33であった。
【考察】早川らは昭和54年から平成16年までに両側のTHA、両側のTKAの4関節を置換した14症例に対し、ADLやQOLを中心に調査した結果、5症例が人工股関節再置換術を期間内に施行しており、移動動作について藤林の分類で1例が3d、4例が4aに該当していたと述べている。本症例は下肢4関節置換術後に、両人工股関節再置換術を施行しており、内部障害として心疾患も合併していた為、訓練開始時は屋内歩行獲得(3d)が困難ではないかと考えられた。しかし、約5ヶ月間訓練を行った結果、筋力、心機能が向上し、移動動作は3dにまで改善した。今回、心疾患も合併しており難渋した症例であったが、適切な運動療法を施行することで内部疾患合併例でも屋内歩行獲得できることを示唆した。
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© 2007 東海北陸理学療法学術大会
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