東海北陸理学療法学術大会誌
第23回東海北陸理学療法学術大会
セッションID: C011
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目標指向的アプローチにより生活機能全般が向上した一症例
*榊原 智永
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抄録
【はじめに】
 今回、退院後の生活において復職、洗濯などの家庭内役割、釣りなどの趣味の継続のために早期実用歩行獲得が必須である症例に出会い、ICFで生活機能を整理し、「目標指向的アプローチ」において家庭内役割獲得可能となったためここに報告する。
【入院時評価 H18.9.15】
 H18.8.25に左視床出血を呈しH18.9.15に当院に入院した62歳男性。病前は妻と2人暮らし(本人・妻共に有職)。家庭内役割は家事や買物。趣味は温泉や釣り。交通手段は車を使用。参加は対人関係として他患・家族へ助言や情報交換を行う。活動は病棟内を車いすで移動し排泄・更衣(下衣)・入浴に中等度介助を要する。歩行は、サイドケインとSHBを使用し中等度介助。心身機能は上田12段階グレードより右上肢5、右手指3、右下肢5。感覚は中等度鈍麻。MMTは左上下肢・体幹共に4。右肩関節に可動域制限有り。注意障害有り。IQ 89。
【主目標】
 2月中に自宅へ退院し、自宅内は独歩(裸足)で移動し、家事を継続。さらに病前行っていた趣味の継続。移動手段として車の運転獲得し買物・通院の継続や復職。
【副目標】
 自宅内は独歩(裸足)でADL自立。屋外はT字杖とSLBを使用し自立。また、家事(掃除・洗濯・ペットの世話)や趣味(釣り・銭湯)において環境限定型自立。
【アプローチ】
 早期から復職・家事・趣味活動を想定した活動向上訓練を中心に実施する。その上で活動に関連した優先性の高い機能訓練、立位でのリーチ動作や荷物持ち歩行といった複合・基本動作訓練中心に実施する。また、早期から安定した杖や装具を使用し、実用歩行・ADL自立を目指す。
【退院時評価 H19.2.7】
 参加は再就職について上司と協議中。対人関係では他患や家族、友人・会社の同僚への助言や情報交換を行う。外泊時に家事、留守番を行う。活動は自宅内T字杖裸足歩行または裸足伝い歩きにてADL自立。屋外はT字杖とSLB歩行にて自立。家事(掃除・洗濯・ペットの世話)は環境限定型自立。趣味は非実施。心身機能は上田12段階グレードより右上肢8、右手指5、右下肢8。感覚は軽等度鈍麻。MMTは上下肢・体幹5。右肩関節に可動域制限有。高次脳機能は特に問題なし。
【考察】
 ICFを用いて複雑な生活機能を整理し、具体的な目標を立て、アプローチを実施することで各職種や本人・家族が退院生活を具体的に把握することが可能となった。そのため、入院初期から家庭内役割、仕事や釣りなどの趣味といった動作練習や看護師・家族との自己訓練や外泊訓練の導入による協業により、退院時において家庭内役割を持った活発な生活が可能となった。また、早期から安定した杖や装具を使用することで早期実用歩行・ADL自立が可能となり本人・家族の自立欲求が高まった。こうしたICFによって障害構造を捉えることで計画的かつ多面的なアプローチが可能となった。また、早期社会参加獲得のために歩行中心の活動へ直接アプローチすることで機能障害が残存していても家庭内役割の継続や実用歩行・ADL自立といった参加・活動の向上が図られ、生活機能全般の向上が可能となったと考えられる。
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© 2007 東海北陸理学療法学術大会
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