東海北陸理学療法学術大会誌
第23回東海北陸理学療法学術大会
セッションID: P013
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脳卒中右片麻痺患者における座位支持面傾斜知覚の麻痺側と非麻痺側の精度比較
*越智 亮森岡 周
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キーワード: 座面傾斜, 知覚, 右片麻痺
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抄録
【目的】 脳卒中後の片麻痺患者において,座位姿勢で身体傾斜知覚の能力が,麻痺側と非麻痺側で差があるかどうか明らかではない.今回,高次脳機能障害および感覚障害のない右片麻痺患者の座位支持面の傾斜知覚とその再現に対し,麻痺側と非麻痺側の精度の差について検証した. 【方法】 書面にて同意の得られた右片麻痺患者6名(平均年齢72.0±5.8歳)を対象に実験を行った.右片麻痺患者は,全て臨床評価で高次脳機能障害と体性感覚障害を認めなかった.実験手順は,まず,検査者によって前額面上での角度調節が自由に可能な特別製作した回転椅子を用意し,その座面上で被験者に端座位をとらせた.次に,大腿部をベルト固定し,体幹と頭部の動きは自由とし,両上肢は大腿に置かせ,足底は非接地とした.支持面上には,デジタル角度計を設置した.実験は暗室で行った.課題内容は,被験者に対し検査者から提示刺激として座面傾斜を与え,被験者に傾斜角度(3段階)を回答させることと,提示刺激の直後に被験者にそれを再現させることであった.座面傾斜の提示刺激は,麻痺側(右),非麻痺側(左)へそれぞれ5°,10°,15°,20°とした.再現は,検査者が座面を水平位置から回転していき,被験者が提示刺激と合致したと思う時点で口頭合図をさせた.課題は,各方向と各段階で3回ずつランダムに施行した(計24施行).データは,提示刺激に対する被験者の回答における正答数と,再現した時の傾斜角度を記録した.記録した再現角度から提示刺激の傾斜角度を減じ,誤差の相対値を算出した.その後,誤差の相対値の二乗平方根によって正負符号を除去した絶対値を算出した.統計処理には,t検定,一元配置分散分析,ならびに多重比較検定を用いた.提示刺激に対する正答数は麻痺側と非麻痺側で比較した.再現の誤差絶対値は,各傾斜角度(5~20°)での麻痺側と非麻痺側の比較,および麻痺側と非麻痺側内で各傾斜角度間の比較を行った. 【結果】 提示刺激に対する正答数は,麻痺側と非麻痺側で有意差を認めなかった.正答率は麻痺側で92%,非麻痺側で96%であった.再現の誤差絶対値は,提示刺激が15°と20°において麻痺側が非麻痺側よりも有意に大きかった.また,麻痺側での各傾斜角度間の比較で,提示刺激が5°と20°の間に有意差を認め,20°の誤差絶対値がより大きかった. 【考察】 結果から,右片麻痺患者は麻痺側へ身体を15°以上傾斜すると,非麻痺側よりも傾斜知覚の再現能力が劣ることが示唆された.空間認知の障害や体性感覚障害のない片麻痺患者であっても,麻痺側に関しては頭部回転による前庭系,もしくは殿部からの圧感覚情報に基づく,座面傾斜知覚の認識から運動出力までの統合プロセスに障害を来している可能性があると推察した.
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© 2007 東海北陸理学療法学術大会
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