抄録
【はじめに】平成18年診療報酬改定に伴い、回復期リハビリテーション(以下リハ)の充実を図る観点から、回復期リハビリテーション病棟(以下リハ病棟)入院患者においては1日当たり9単位まで実施可能となった。また、セラピストの実施単位数の上限も緩和され、「24単位/1日」を上限とし、週108単位までと規定された。これにより回復期への入院から退院までのFIM利得が改定前とどのように変化したかを比較検討したので報告する。
【方法】対象は、平成17年4月から平成19年3月までに当院回復期リハ病棟に入退院した全443例とした。脳血管疾患と整形外科疾患についてリハ実施単位数と入院時から退院時のFIM運動項目の利得を比較した。
【結果】平成17年度のセラピスト数は13人、18年度は24人であった。平成17年度は回復期患者1人に対し、PT・OT・STの合計実施単位数は1日平均4.58単位、18年度では8.94単位と約2倍となった。また、平成17年度と18年度のFIM利得の差は脳血管疾患で3.05、整形外科疾患は2.84となった。平均入院期間は51.7日と51.8日でほぼ同じであった.
【考察】今回の診療報酬改定による単位数上限の緩和と、当院セラピストの増員により最大9単位行える環境が整ったことが、17年度のFIM利得と18年度利得に差をもたらした主因と考えられた。脳血管疾患では、全身状態が安定した段階でリハ病棟に入院となるが、その時点ではまだADLが充分に改善していないケースが多く、結果として入院後のFIM運動項目の利得増大に繋がったと考えた。一方、整形外科疾患では脳血管疾患に比べリハ病棟入院時には既にFIM運動項目の点数が高く、いわゆる天井効果により変動が少なかったと考えられた。訓練時間の増加によって実際の病棟ADL場面へのセラピストの介入が増えたこともFIM利得の増加に繋がったと考えられた。上記より、回復期では高密度の実践的リハを行うことで充分なADLの改善が得られると考えられた。
【まとめ】診療報酬改定に合わせ18年度の当院回復期担当セラピストは17年度に比較して約2倍に増員され、患者1人当たりの単位数も約2倍に増加した。一日の中で適切に時間を分けて訓練を行うなどの工夫により多くの動作を日常生活レベルで観察し指導できた。今後FIM利得の変化と退院先等との関連性を検討したい。