東海北陸理学療法学術大会誌
第24回東海北陸理学療法学術大会
セッションID: P025
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実用的な日常生活自立度の評価~バランス能力を視点として~
*中田 裕之田口 将也後藤 健一内藤 靖生永田 幸史工藤 慎太郎
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キーワード: BBS, FIM, ADL能力
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抄録
【目的】
 当回復期リハビリテーション病院は,退院後の実用的な移動手段の獲得や,実用的なADL能力の向上を目標としている.我々は,Berg Balance Scale(以下BBS)とFIMなどからこれらの評価を行っている.しかし,これらの評価には主観的な判断が多く,検査測定に時間がかかることが臨床上問題となっている.
 本研究の目的は退院後の実用的なADL能力を反映するBBS測定項目を抽出することである.
【対象及び方法】
 当院を退院し,歩行を実用的な移動手段としている30名(男性16名,女性14名,平均年齢64±15歳)を対象とした.疾患内訳は脳血管障害20例,運動器疾患10例であった.対象者には本研究の趣旨を口頭で説明し同意を得た.
 全対象者のFIM運動項目総得点とBBS下位7項目,FIM認知項目総得点,年齢,疾患内訳との関連を多変量的に分析した.統計学的手法はFIM運動項目総得点を目的変数とし,BBS下位7項目,FIM認知項目総得点,疾患内訳,年齢を説明変数として変数減少法による重回帰分析を行い,危険率5%未満を有意水準とした.
【結果】
 FIM運動項目総得点を説明する因子に,「踏台への足載せ」:標準偏回帰係数(β)=0.62,単相関係数(r)=0.91,「タンデム立位」:β=0.42,r=0.80,「一回転」:β=-0.38,r=0.61,「リーチ動作」:β=0.23,r=0.58,「拾い上げ」:β=0.20,r=0.47の5項目が抽出された(R=0.95,p<0.001).
【考察】
 我々は先行研究において,入院患者の実用的な歩行能力を反映する因子を,「踏台への足載せ」,「タンデム立位」,「片脚立位」,「一回転」と報告した.本研究においても,「踏台への足載せ」「タンデム立位」「一回転」は抽出された.また,先行研究に加え,新たに「リーチ動作」と「拾い上げ」が抽出され,「片脚立位」は抽出されなかった.これらの結果は,先行研究では歩行能力に焦点を当て,Timed Up and Go testとBBSの関係を分析したのに対して,本研究ではADL能力に焦点を当て違いと考えられる.
 実用的なADL能力を獲得するために必要なバランス因子は,「踏台への足載せ」の様に“支持基底面と重心位置をほぼ同時に移動する能力”,「タンデム立位」の様に“狭い支持基底面内で高い重心位置を保持する能力”,「リーチ動作」や「拾い上げ」の様に“支持基底面内で重心を移動する能力”が必要になると示唆された.また,「一回転」はβの符号が逆を示した.これは,制限時間が設定されているため,バランス能力の低い対象者でも性急に動作を遂行し高得点を獲得し,逆にバランス能力の高い対象者で慎重に課題を遂行し得点が低くなったためと考えた.つまり,「一回転」は実用的なADL能力を反映するバランス因子として扱うには慎重を期すべきと考察した.すなわち,退院後のADL能力を推測するためのBBS測定項目は,「踏台への足載せ」,「タンデム立位」,「リーチ動作」,「拾い上げ」の4項目と考えられた.
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© 2008 東海北陸理学療法学術大会
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