東海北陸理学療法学術大会誌
第25回東海北陸理学療法学術大会
セッションID: S-13
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定性的評価方法を用いた投球障害患者のフォームの観察
*竹中 裕人水谷 仁一鈴木 達也久松 周平花村 浩克
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抄録

【目的】 当院では投球障害患者に対し,デジタルビデオカメラ(DV)を用いて,フォームの評価・修正を行っている.DVを用いた定性的評価は臨床で比較的多く用いられているが,欠点として客観性や信頼性に劣ると言われている.しかし,同一被験者を複数人で評価することで客観性の弱点を補うことができる.そこで,我々は,定性的評価方法を用いて,当院における投球障害患者のフォームを観察した. 【方法】 対象は, 2008年5月から2009年4月の間に,当院を受診し,投球肩・肘障害と診断され,動作指導を行った33名(14.5歳±4.7).撮影方法は,DVで後方より撮影し,静止画で評価した.評価項目は,1:Wind-Up(WU)の骨盤「前傾・中間・後傾」2:WUの体幹「屈曲・中間・伸展」3:Early Cocking(EC)のステップ「in・真直ぐ・out」4:ECの投球側肩関節回旋角「2nd外旋90°以下・ 90°・ 90°以上」5:ECの体幹「屈曲・中間・伸展」6:Late Cockingの肘の高さ「下がり・両肩峰のライン上・上がり」とした.評価者は,理学療法士5名(投球障害患者を担当していない者)で1~6の項目をそれぞれ評価した.評価者5人の内4人以上が同一評価の場合を「客観性あり」とした. 【結果】 客観性ありの割合は,1:76%,2:76%,3:48%,4:73%,5:61%,6:67%であった.客観性ありと評価された内,1:WU骨盤後傾60%,3:EC体幹伸展72%などの特徴が見られた. 【考察】 客観性について,1,2,4では,評価にあたって明確な基準がないものの,33名中24名の対象者に客観性がみられた.そして,WU骨盤後傾は33名中14名,EC体幹伸展は33名中17名,などの特徴が認められた.今後、これらの項目の関連性などにも着目して検討していきたい. 【まとめ】 定性的評価方法を用い,投球障害患者のフォームの特徴が一部把握できた.

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© 2009 東海北陸理学療法学術大会
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