東海北陸理学療法学術大会誌
第25回東海北陸理学療法学術大会
セッションID: S-17
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回復期脳卒中患者の立位バランスにおける重心動揺の経時変化
*宇佐見 和也谷野 元一寺西 利生生川 暁久上野 芳也矢箆原 隆造下村 武貴和田 陽介園田 茂
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抄録

【目的】
 脳卒中患者の立位バランスは,歩行やADL,転倒率等との関係について多数報告されている.しかし,回復過程にある脳卒中患者の立位バランスの変化を経時的にみたものは少ない.そこで我々は,回復期脳卒中患者における立位バランスを退院まで計測し,その変化について検討した.
【対象】
 当院回復期リハビリテーション病棟に入院し,入院2週時に静止立位が1分間保持可能で,6週以上在院した初発脳卒中片麻痺患者18名とした.年齢は57.2±12.2歳,障害側は右麻痺13名,左麻痺5名,入院時下肢Br.StageはStageIIが4名,StageIVが8名,StageVが6名であった.入院時FIM運動項目合計点は54.3±11点,発症から入院までの期間は28.0±8.8日で,在院日数は58.2±9.3日であった.
【方法】
 計測にはActive Balancer(酒井医療社製)を用い,前方2m先のマーカーを注視させ,上肢支持なしでの自然静止立位を1分間計測した.計測時期は当院入院より2週時(以下,2w),4週時(以下,4w),6週時(以下,6w),退院時(以下,ENT)の計4回で,両足部の位置は2wに記録し,その後も同じ位置で計測した.計測項目は足圧中心(以下,Center of Pressure:COP)の総軌跡長と外周面積とし,その変化について検討した.
【結果と考察】
 総軌跡長は,2wが157±54cm,4wが129±34cm,6wが124±31cm,ENTが118±35cmであった.2w,4w,6w,ENTの4群にて一元配置分散分析の後Bonferroniの多重比較を行った結果,2wと6w,2wとENTで有意な減少を認めた(p<0.01).外周面積では,2wが69±38cm2,4wが50±27cm2,6wが42±23cm2,ENTが31±13cm2であり, 2wと6w,2wとENT, 4wとENTで有意に減少した(p<0.01).2項目とも,2wから4wが有意差は認めなかったものの変化としては最も大きかった.これより,回復期脳卒中患者の立位バランスが改善していく過程として,総軌跡長と外周面積の減少は,入院から約1ヶ月までが変化としては大きく,それ以降は緩やかに変化していくという経過となった.今後は,動的な立位バランス能力等も考慮し,より詳細な検討を行っていきたい.

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© 2009 東海北陸理学療法学術大会
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