東海北陸理学療法学術大会誌
第25回東海北陸理学療法学術大会
セッションID: S-21
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慢性閉塞性肺疾患におけるパフォーマンステストの検討
*田上 裕記太田 清人南谷 さつき黒木 光杉浦 弘通村田 公一酒向 俊治金田 嘉清
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抄録

【目的】今回,慢性閉塞性肺疾患(以下COPD)に対し嚥下に関するパフォーマンステストを行い若干の知見を得たので報告する。
【対象】対象はCOPD患者69例(男性53名,女性16名),平均年齢73.0歳を対象とした。Global Initiative for Chronic Obstructive Lung Disease(以下GOLD)による重症度分類ではstage_I_が9例,stage_II_が30例,stage_III_が30例であった。コントロール群は健常高齢者15名(男性7名,女性8名),平均年齢72.7歳とした。全症例において嚥下機能に影響する脳・神経疾患が無く,食事は普通食摂取,意思疎通も問題はなかった。
【方法】福地らの「嚥下性肺炎の診断と治療」を参考に,1)反復唾液嚥下テスト(以下RSST),2)水のみテスト(以下WST),3)頚部聴診法(以下CA),4)簡易嚥下誘発試験(以下S-SPT)の4項目を実施した。GOLDの重症度分類によりstage_I_群:A群,stage_II_群:B群,stage_III_群:C群,コントロール群:D群とした。4群間における各群間に対し,Tukeyの多重比較検定を用い検討した(有意水準:5%未満)。尚,研究にあたり対象者に目的や意義,有害事象を十分説明し,文章による承諾を受けインフォームドコンセントを行った。
【結果】RSST及びCAについてA群の値はD群の値と比較し有意に異常値が多かった(p<0.05)。また,B,C群の値はA群の値と比較し有意な増減は認められなかった。S-SPTにおいてB,C群の値はD群の値より有意に異常値を示し(p<0.05),A群とD群間において有意差は認められなかった。WSTではいずれも有意差は認められなかった。
【考察】OhtaらはCOPDの軽症例においても嚥下障害を有することを示し,RSSTの有用性を報告している。今回の結果より,S-SPTはCOPDの中等症及び重症例において嚥下障害の検出に有効であった。RSST及びCAは軽症COPD患者における嚥下障害の検出に有効であることが示唆された。

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© 2009 東海北陸理学療法学術大会
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