主催: 東海北陸ブロック理学療法士協議会
【はじめに】 2003年「NICUにおける呼吸理学療法ガイドライン」が作成され、多くの施設で新生児に対する呼吸理学療法が施行されている。当院NICUでも無気肺の発生した症例に対して呼吸理学療法を実施していたが、さらに2008年10月からは挿管にて人工呼吸器管理している児に対して早期から呼吸理学療法を行い、無気肺の予防に努めている。しかし、その有効性については不明な点が多い。そこで呼吸理学療法による無気肺の予防的介入の有効性について後方視的に検討した。〈BR〉 【対象】 2007年3月から2009年6月までに当院NICUに入院し挿管にて人工呼吸器管理を要した児92例(平均在胎週数33w3d平均体重2028.1±909g)において、早期から呼吸理学療法を介入した(介入群)29例(平均在胎週数32w5d平均体重1836.2±937g)と予防的に呼吸理学療法介入しなかった(非介入群)63例(平均在胎週数33w6d平均体重2116.5±889g)を対象とした。挿管中に死亡または転院した例は除外した。〈BR〉 【方法】 介入群は医師により状態が安定したと判断し体位交換が可能となった時期から呼吸理学療法を開始し、排痰体位、振動と気管内吸引を行い3時間毎の体交スケジュールを理学療法士が決定した。 介入群と非介入群における無気肺の発生件数をカイ2乗独立性の検討を用いて分析した。〈BR〉 【結果】 介入群の無気肺発生率は3.6%で非介入群では19.6%であり、早期からの無気肺の予防的介入は無気肺を予防する傾向がみられた。(p=0.06)。さらに、出生体重2500g未満の児のうち肺疾患症例のみでの検討では、無気肺を有意に減少させた(p=0.036)。〈BR〉 【考察】 NICUにおいて早期からの呼吸理学療法介入は無気肺発生を予防することが示唆されたが、介入時期や神経学的予後などの合併症については今後も検討する必要があると考えられる。