東海北陸理学療法学術大会誌
第25回東海北陸理学療法学術大会
セッションID: S-25
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座位で腹痛が増強し離床に難渋した重症肺炎による長期人工呼吸管理後の症例
*木村 健夫俵 祐一夏井 一生伊藤 恭兵大曲 正樹中野 豊
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抄録
【はじめに】
重症肺炎による長期人工呼吸管理後の患者は廃用が進行し離床に難渋することが多い。今回、著明な筋力低下に加え、座位姿勢で腹痛・嘔気等を生じたため離床が遷延した症例を経験したので報告する。
【症例】
67歳・男性。診断名:重症肺炎。発症前は活動的な生活をしていた。発熱と全身の関節痛により近医受診、肺炎像を認め当院紹介受診となった。
右肺優位に濃厚な浸潤影を認め、酸素化も著しく不良のため、即日、人工呼吸管理となった(P/F比 53)。なお、本人に説明を行い、本報告の同意を得た。
【経過】
第43病日に人工呼吸器離脱完了(MMT上肢3、体幹・下肢2、血液生化学検査Alb 2.3g/dL,Cr 0.30mg/dL)。
端座位練習は第53病日に開始。端座位となると苦悶性顔貌を呈し腹痛・嘔気を生じた。リクライニング車いすでも呼吸困難・腹痛・嘔気等を生じ20分が限界であった。その後も車いす座位耐久性は30分程度であった。
立位練習は第78病日に開始。立位は股・膝屈曲位で、体幹も屈曲していたが、股・膝伸展をサポートし体幹中間位とすると疼痛が軽減した。立位練習は最小限の介助で行い、自身の筋収縮を促した。第113病日にはMMT体幹・下肢3、歩行器歩行30m可能となり、第147病日には杖歩行病棟内自立となった。
【考察】
長期人工呼吸管理後には臥床による廃用が認められるが、低栄養や全身性炎症を呈する重症肺炎ではさらに蛋白質異化が亢進し、著明な筋力低下を呈しやすい。本症例では座位時に腹部症状をきたし、さらに離床を難渋させる原因となっていた。年齢や発症前の活動性を考えると可及的速やかに活動レベルを向上させる意義は高く、座位から立位レベルの訓練に切り換えたことは的確な判断であったと考える。しかし、時間的側面から考えると、著明な筋力低下がある状況での立位・歩行はセラピスト介入時以外の離床効果は小さく、結果的に病棟内自立となるまでは離床遷延は生じていたといえる。
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© 2009 東海北陸理学療法学術大会
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