東海北陸理学療法学術大会誌
第25回東海北陸理学療法学術大会
セッションID: C-4
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訪問リハビリテーション・通所リハビリテーションでCIDP高齢者のADLが拡大した1症例
多職種アプローチの必要性について
*徳力 康治北沢 友衣藤島 千里葛巻 知子
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抄録

【はじめに】慢性炎症性脱髄性神経根炎(以下CIDP)対称性に運動、感覚障害が侵される多発神経根炎で、上下肢の遠位部または近位部に脱力と感覚障害が起こると規定されている。病因は自己免疫疾患で、疫学的には、人口10万人当たりの発症率は、0,3から0,5%で男性に多いと推定されている。今回、発症時86歳のCIDP症例を訪問リハや多職種での支援により在宅生活を継続出来ている症例の経過と現状の問題について報告する。なお症例には発表の同意を得ている 【症例紹介・経過】86歳男性、軽度認知症の妻と二人暮らし。平成18年2月頃より下肢の脱力と手指の動きにくさを自覚、同年3月座位保持も不安定となった為、A病院入院となりCIDPの診断確定する。入院中に、グロブリン療法等で改善し車いす駆動可能、手すりを用いたトランスファーが可能となる。本人が在宅生活を希望し、平成18年11月より当院で訪問診療、訪問看護、訪問介護開始となる。平成19年4月PTが着任し訪問リハ開始となる。訪問リハ開始時は、MMT上肢3から4レベルで右手指の巧緻性低下を認めた。下肢3レベル体幹3レベル(右<左)ADLは、トランスファー軽度介助でポータブルトイレも介助であった。PT着任後、通所リハも起立練習や歩行練習を行いたいとの希望から開始、その後ポータブルトイレ自立、洋式トイレへの車イスでの移動が自立。現在は、浴室への移動、手すりを用いてトイレまでの歩行が可能となった。 【まとめ】ADL拡大の要因として本人のもう一度歩いてトイレに行きたいという意欲と、リハにより獲得したADL能力を訪問看護師や通所リハスタッフ、通所介護スタッフが上手く活用してくれた事が大きいと考える。在宅を支える上では、多職種による多方面からのアプローチの必要性を改めて考えさせられた。現在、妻の認知症が進んできており老々介護問題で今後の方向性を検討する時期に来ている。

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© 2009 東海北陸理学療法学術大会
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