東海北陸理学療法学術大会誌
第25回東海北陸理学療法学術大会
セッションID: C-6
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脳深部刺激療法術後に転倒を頻発したパーキンソン病1症例の検討
*森 慎太郎堀場 充哉山下 豊原田 直太郎梅村 淳
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抄録
【目的】パーキンソン病(PD)に対する薬物治療の効果改善を目的として視床下核(STN)をターゲットにした脳深部刺激療法(DBS)はPDの運動症状全般に効果がある。一方STN-DBS施行後に幻覚、妄想、moodの変化、前頭葉機能低下など多彩な精神症状を呈する場合がある。今回、STN-DBSを施行したPD1症例について、転倒を頻発させた要因を検討した。 【方法】PD発症後26年、術後3年4ヶ月を経過したPD1症例について、UPDRS、色彩マトリックス検査、HDS-R、MMSE、TMT検査、簡易前頭葉機能検査(FAB)、画像診断を用いた評価を行った。 【結果】UPDRSは術前で115点、術後7か月で77点と改善、術後3年4か月で115点と術前点数まで悪化。術後2年6か月でのCT所見より脳室、脳溝は若干拡張、側脳室の拡張が以前より軽度に目立つ印象、深部白質に軽度の虚血性変化を示しているとの診断を受けた。術後3年4か月にて色彩マトリック検査10/36点、HDS-R16点、MMSE21点、TMT-Aは完遂できず、FAB6/18点であった。 【考察】UPDRSより術後1年間においても姿勢は前傾を示し、立位は支えなければ倒れてしまう状態であった。歩行動作では前方突進がみられ姿勢反射障害に対する改善は不十分であった。しかし症例は独歩を開始、転倒してしまう状況であった。前頭葉機能低下では多彩な症状を示すが、行動抑制にとって前頭葉が重要な役割をはたしていると言われており、前頭葉損傷患者を対象とした実験的観察において検証されている。TMT-Aでは行動に保続がみられ完遂不可、FABでも前頭葉機能の障害が予想された。また画像診断より脳実質の萎縮が若干ではあるが診断され、色彩マトリック検査、HDS-R、MMSEからは軽度の認知症が予想された。しかし、MMSEの詳細をみると見当識についてはできている反面、図形模写や計算ができないなど前頭様症状に有意な症状を示した。 【まとめ】STN-DBS術後、前頭葉機能の悪化により行動抑制困難となり、歩行意欲を抑えられず、転倒を招いた。
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© 2009 東海北陸理学療法学術大会
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