抄録
【はじめに】
脳卒中患者の運動麻痺肢への訓練法には様々なものがある.近年,注目されている随意運動介助型電気刺激装置(Integrated Volitional control Electrical Stimulator:以下,IVES)は随意筋電に比例した刺激強度で電気刺激を行う装置であり,筋収縮の強弱に合わせた麻痺筋の再教育が期待できる.本研究では,脳卒中片麻痺患者の麻痺側足関節背屈機能に対するIVESの有効性を検討したので報告する.
【対象】
初発脳卒中でStroke Impairment Assessment setの足関節運動機能(以下SIAS-F)が2点の片麻痺患者2名である.症例A:51歳,女性,右被殻出血による左片麻痺で発症後期間は39日であった.症例B:34歳,男性,右中大脳動脈領域の梗塞による左片麻痺で発症後期間は72日であった.
【方法】
両膝関節屈曲60°の椅子座位にてIVES(OG技研社製,PAS system)の電極を麻痺側前脛骨筋の運動点に配置した.筋の随意収縮力に応じたIVESからの低周波電気刺激の補助を受けながら,背屈運動を最大努力で15分間行った.IVESによる介入は,通常のPT・OT訓練に追加して7日間実施し(以下,刺激期間),次の7日間は通常訓練のみとし(以下,休止期間),これを2セット繰り返し計28日間とした.SIAS-Fとビデオ撮影による刺激期間前後の随意足関節背屈角度を評価した.
【結果】
症例A:SIAS-Fは開始時2点から1回目刺激期間後3点と変化し,以降3点のままであった.足関節背屈角度は開始時17.4°から1回目刺激期間後19.3°,1回目休止期間後18.1°から2回目刺激期間後21.5°と変化した.
症例B:SIAS-Fは開始時2点から1回目刺激期間後3点,2回目刺激期間後4点と変化した.足関節背屈角度は開始時6.9°から1回目刺激期間後12.3°,1回目休止期間後12.3°から2回目刺激期間後13.0°と変化した.
【考察】
脳卒中回復期の麻痺側足関節背屈へのIVESを試みた.2症例ともにSIAS-Fと背屈角度は刺激期間のみで改善し, 休止期間で改善を認めなかったため,前脛骨筋の中等度麻痺においても,IVESは有効な背屈促通訓練になる可能性が示唆された.