東海北陸理学療法学術大会誌
第25回東海北陸理学療法学術大会
セッションID: C-11
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脊柱柔軟性に着目し,足部痛の改善がみられた一症例
*後藤 聡遠藤 瞳勝井 洋鳥居 滋志
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キーワード: 脊柱, 柔軟性, 足部痛
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抄録

【はじめに】左踵骨骨折により6週間固定し,その後の荷重・歩行訓練時の足関節痛でリハビリに難渋した症例で,抗重力下で筋力訓練を効率的に行うための脊柱機能の柔軟性改善に着目し,足部痛症状の改善がみられたので報告する.なお,報告に際し患者様本人の了承を得た.
【患者情報】28歳,男性,転落事故により,左踵骨骨折を呈す.踵骨をK-wireで6週間固定,K-wire抜去後足底板装着にて荷重訓練など行った.患部の炎症症状,下腿三頭筋の筋萎縮・柔軟性低下など器質的問題がみられた.
【主訴】荷重訓練や歩行時右側立脚期のけり出し時に下腿三頭筋の伸張痛が出現した.
【評価】脇元らにおける脊柱柔軟性テストを用い肩内外旋テスト,膝立て内旋テスト,体幹回旋テスト,膝抱え込みテストを行い,胸椎,腰椎,仙腸関節の可動性低下がみられた.
【治療】座位姿勢から体幹回旋運動を行う四股捻転で仙腸関節の離開,さらに体幹回旋により肩甲骨・胸椎可動性を出すことで胸椎の柔軟性向上を狙った.また,四つ這い姿勢から体幹の屈曲伸展運動を連続的に行うキャットを用い,脊柱の関節柔軟性を向上させ生理的彎曲の確保を狙った.これらを指導し,リハビリが休みとなる3日間を自主トレーニングのみ行った.
【経過】自主トレーニング後、患部の器質的問題は依然あったが,全ての脊柱柔軟性テスト項目に改善がみられ,抗重力下での筋力・歩行訓練時の疼痛に改善が見られた.
【考察】トレーニング前の脊柱柔軟性テストから,脊柱柔軟性低下が示唆され,床からの衝撃吸収作用の低下,オーバーコントラクションの原理より重力下において患部にかかる負担が過大となり疼痛によりリハビリが難渋していたといえた.そこで,自主トレーニングにて脊柱の柔軟性を改善させたことにより,抗重力下での床からの衝撃を効率よく脊柱が緩和させたことにより,患部での負担が軽減し症状が改善したものと考えられた.

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© 2009 東海北陸理学療法学術大会
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