東海北陸理学療法学術大会誌
第25回東海北陸理学療法学術大会
セッションID: O-23
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手関節背屈における月状骨運動の特徴について
―超音波画像診断装置を用いての検討―
*近藤 秀哉犬塚 好彦林 典雄
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キーワード: 手関節, 背屈, 月状骨運動
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抄録
【はじめに】月状骨は手根骨近位列の中心に位置し、掌背屈運動の要として機能している。手根骨運動の解析にはシネラジオグラフィーを用いた報告が多い。しかし、この方法は装置の複雑さや被曝の問題など、我々理学療法士が拘縮の病態把握に用いるには現実的ではない。今回我々は超音波画像診断装置(以下エコー)を用いて、手関節背屈時における月状骨運動の特徴について検討したので運動療法への応用を含め報告する。
【方法】本研究についての説明を行い同意を得た健常成人16名(平均年齢19.4歳)を対象とした。使用したエコーはALOKA社製超音波画像診断装置SSD-3500SVを用い10.0MHzリニア式プローブを使用した。母指球皮線近位部で橈骨遠位端と月状骨の長軸画像を描出し、中間位ならびに最大背屈時の月状骨運動を抽出した。計測方法は橈骨遠位端下縁を通過する水平線をα、垂線をβとし、中間位の月状骨掌側頂点とαとの距離をa、背屈位の月状骨掌側頂点とαとの距離をbとし、その差を垂直距離とした。また中間位で観察される月状骨尾側頂点とβまでの距離をc、中間位における尾側頂点が背屈に伴い遠位へ移動した点とβまでの距離をdとし、その差を水平距離として計測した。統計学的処理にはpaired t-testを用い有意水準は5%とした。
【結果】垂直距離は中間位で2.3±0.7mm、背屈位で1.0±0.9mmと有意に掌側に移動した(p<0.001)が、その距離はわずか1.2±0.8mmであった。水平距離は中間位で8.1±1.7mm、背屈位で13.6±1.9mmと有意に遠位へ移動し(p<0.001)その距離は5.4±1.5mmであった。
【考察】手関節背屈時の月状骨は掌側への滑りとともに関節面を背側へ開き、有頭骨の運動範囲を拡大する。今回の結果より背屈に伴う月状骨掌側頂点の位置は有意に掌側方向へ移動するが、その距離は1.2mm程度であり、むしろ月状骨の高さは変化せず遠位への水平距離が主体と考える方が妥当である。これを踏まえ背屈制限に対する月状骨の操作は垂直移動を一定に保ちつつ遠位に引き出す要領で行うことが有効と考えられた。
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© 2009 東海北陸理学療法学術大会
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