抄録
【はじめに】
当院では、平成17年から血糖コントロールと生活習慣改善を目的に糖尿病教育入院を行なっている。入院には医師をはじめとする関係各職種が関わり成果をあげている。その中で、理学療法士(以下PT)は運動療法に対する知識の習得と運動実践を担当している。今回、PTが行なう入院時アンケート(以下入院A)と退院時アンケート(以下退院A)から、患者の意識と指導意義について考察したので報告する。
【対象と方法】
平成17年4月から平成21年3月の期間に当院に教育入院となり、運動療法を行なった80名(男性52名、女性28名、平均年齢60.8±13.5歳、平均入院期間18.8±9.7日)を対象にアンケートによる意識調査を行った。入院Aは15項目、退院Aは7項目からなり、アンケート回収率は入院A96.3%、退院A82.5%であった。結果の分析はX2検定を用いた。
【結果】
入院Aでは「運動実践の有無」と「運動嗜好」の項目において有意な関連性がみられた。退院Aでは、運動療法の理解度について「理解できた」と回答した人数が有意に多かった。また、運動療法指導に対する満足度、退院後の運動継続の項目においても有意に運動療法介入の有効性を示した。
【考察】
教育入院前のアンケートにより糖尿病患者の運動実践には、嗜好が強く関与していることが分かり、運動療法介入時に運動種類や運動量以外にも、「運動の楽しさ」を指導する必要性も感じた。また、退院時には入院中の運動実践により、その意義や継続意欲も高まった。これまで、運動を本格的に導入した経験の少ない患者も1週間以上継続したことにより良好な血糖コントロールを獲得し、運動に対して受容し、患者自身がセルフエフィカシーを実感した結果であると考えた。