抄録
【目的】頸髄損傷において完全麻痺であるFrankel Aから歩行可能なFrankel Dまでに改善する例は頸髄損症例全体の約4_%_と報告されている。当院における頸髄損傷者の麻痺の短期経過を検討し、且つ下肢の運動機能が改善した症例に対しての歩行形態を検討した。
【方法】対象は2003年から2009年までに、当院にて急性期加療を行った完全麻痺を呈する外傷性頸髄損傷者22名(59.1±20.4歳、受傷後72時間Frankel A、B)とした。対象は「骨傷性損傷者」と「非骨傷性損傷者」に分け、各損傷者を更に受傷後6週において「下肢機能回復群(Frankel C、D)」と「下肢非回復群(Frankel A、B)」に分類した。評価はFrankel分類とした。また、下肢機能回復群に対しては歩行形態を評価した。なお、全対象に対しては術後2-3日以内に理学および作業療法介入を開始している。
【結果】骨傷性損傷者は8名、非骨傷性損傷者は14名であり、骨傷性損傷者の全症例は受傷後2週でFrankel Bとなるが下肢の運動機能に回復は認められなかった。受傷後6週における下肢機能回復群は5名で、全て非骨傷性損傷者であった。下肢機能回復群5名のうち1名は受傷後1週からFrankel Cの状態が受傷後6週まで持続し、2名が受傷後4-5週でFrankel D0まで改善したが、10m歩行不能であり受傷後6週にはFrankel C2と判断した。他2名は受傷後4週までにFrankel Dへと改善し、歩行動作練習へ移行した。歩行練習へ移行した2名の受傷後6週における歩行形態として、1名は長下肢装具着用にて歩行車監視レベル、1名が装具非装着にてプラットホーム型杖監視レベルであった。
【考察】今回の受傷後6週までにおける下肢運動機能の短期成績は、長期目標設定を考慮する上で重要な指標となる可能性が考えられた。