東海北陸理学療法学術大会誌
第25回東海北陸理学療法学術大会
セッションID: O-44
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変形性膝関節症の後足部回内外と歩行時痛の関係
*水野 陽太清水 新悟牛島 秀明竹中 裕人横地 正裕花村 浩克
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抄録

【目的】変形性膝関節症(膝OA)内側型は大腿脛骨角(FTA)が増大し膝内反モーメントが増すことにより疼痛が誘発されると言われている。 膝OAの歩行時痛に対し、膝内反モーメントを減少させる目的で外側楔状板が用いられることがあるが、後足部のアライメントによっては逆に内反モーメントを増大させる場合もある。我々は歩行立脚中期の後足部回内外に着目してアプローチを行っており、第44回日本理学療法学術大会において後足部回内外とFTAの関連性について報告した。今回は、膝OA患者の後足部の回内外と歩行時痛の関連について検討した。 【方法】 両膝OA内側型と診断された患者のうち、膝伸展制限、外反母趾などの変形および骨折などの既往が無く、静的立位での後足部が両方回内、あるいは両方回外を呈している男性7例女性15例計22例(平均年齢67.6才、平均BMI 23.9)を対象とし、回内群(n=8、回内平均9.7°)と回外群(n=14、回外平均10.5°)に分類した。検討内容は左右各足のFTA、歩行時痛、日本整形外科学会OA膝治療成績判定基準(JOAスコア)とした。 【結果】FTAは回外群と回内群で相関性および有意差は見られなかった。歩行時痛は回内群が回外群より有意に低かった。また歩行時痛と後足部角度は、回外群では相関は見られなかったが、回内群では負の相関を認めた。JOAスコアと後足部角度については、回内群では正の相関を認めた。 【考察】外側楔状板は後足部を回内方向へ誘導し、荷重軸を外側に移動させることによって歩行時痛を軽減させると言われている。膝OA患者の中には疼痛回避のため後足部が回内し、外側楔状板を装着した時と同様の疼痛軽減作用が起こっている事例もある可能性が示唆された。 【まとめ】後足部アライメントは歩行時痛と関連しており、足底挿板作成の際にこれらを考慮する必要がある。

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© 2009 東海北陸理学療法学術大会
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