主催: 東海北陸ブロック理学療法士協議会
【目的】
当院では急性期脳卒中患者に対して, 入院3週目でリハビリカンファレンスにて転帰先の検討を行っている. しかし入院3週目に転帰先を検討することが妥当かどうかは検証するに至っていないのが現状であった. そこで入院から2週経過時のBarthel Index(以下BI)をもとに, 転帰先を予測することが妥当であるかを検討した.
【対象及び方法】
2008年2月から2009年1月までに当院に入院した急性期脳卒中患者のうち, 入院前歩行が屋外歩行自立かつADLが自立していた32例を対象とした. ただし在院日数が2週間以内の患者は除外した.
自宅退院患者と回復期病院転院患者に分類し, 2週経過時・退院時のBI, 年齢, 性別, 疾患, 在院日数を比較検討した. ただしBIは「しているADL」で評価を行った. また, 回復期病院転院群であり, かつBIが55点以上である患者については転院理由を分析した.
【結果】
在宅退院群と回復期病院転院群で, 年齢・性別・疾患・在院日数は有意差が認められなかった. 2週経過時BIと退院時BIは危険率1%で有意差をみとめた. また, 在宅退院群の2週経過時BIはすべて55点以上であった. 回復期病院転院群の2週経過時BIは, 11名は55点未満, 6名は55点以上であった. 回復期病院転院群の2週経過時BIが55点以上の6名の転院理由は、さらなるリハビリテーションによる回復が期待できること, 自宅の環境, 介護力の不安, が主な要因であった.
【考察】
自宅へ退院された患者は入院から2週経過時BIがすべて55点以上であり, 2週経過時BIの得点から転帰先がある程度予測が可能であることが示された. しかし2週経過時BIが55点以上であっても回復期病院へ転院される患者もいるため, 退院先決定に影響する他の因子も考慮する必要があることが推察された.
【まとめ】
結果・考察から, 入院3週目の急性期脳卒中患者について, リハビリカンファレンスにて転帰先を検討することは妥当であると思われるが, BI以外に自宅環境, 介護力などの情報収集も早期に行う必要があると考えられた.