東海北陸理学療法学術大会誌
第25回東海北陸理学療法学術大会
セッションID: S-9
会議情報

糖尿病性ヘミコレアを呈した1症例の理学療法経験
*塩本 祥子古矢 泰子竹田 幸恵野田 祐輔川北 整岩佐 和夫
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

【はじめに】TKAを目的に当院紹介入院となり、その経過において不随意運動を呈した患者の理学療法を経験したので報告する。
【症例紹介】74歳、女性。平成21年2月下旬、整形外科入院。術前検査よりHbA1c13.4%、Glucose 808mg、尿ケトン体3+であり糖尿病性ケトアシドーシスと診断され、血糖コントロールのため内科転科。血糖値改善し手術適応となり、H21年3月下旬、理学療法開始。
【理学療法評価及び経過】術前は起居動作可能であったが、変形性膝関節症による痛みと右上下肢を投げ出すような不随意運動のため歩行は介助が必要。不随意運動は安静時、運動時ともにみられ立位保持困難。4月初旬右TKA施行。4月中旬歩行器歩行開始、約1週間後シルバーカー歩行見守りにて開始。不随意運動は依然残存しており、神経内科受診、糖尿病性ヘミコレア及び右中大脳動脈閉塞と診断されグラマリール、バイアスピリン開始。5月中旬、不随意運動は改善傾向にあったがT字杖歩行など精神的緊張が高まると増強し軽介助を要する状態。経過観察のMRI画像の変化はなく、リハ医及び神経内科医にコンサルトした。現状をふまえた上で、PTでは坐位での運動、立ち上がり、歩行を中心に理学療法をおこなった。徐々に歩行は安定し、シルバーカー歩行は自立、T字杖歩行は見守りにて行うことが可能となった。
【考察】不随意運動発現を糖尿病由来の症状としてチームで模索追及したところ、MRIのT1強調画像にて被殻に高信号を認めるなどの糖尿病性ヘミコレアに特徴的な所見が本症例にみられた。糖尿病に伴い、片側の不随意運動を呈するメカニズムやMRI画像の病理学的背景は不明であるが、自然経過で症状やMRI所見が改善することが知られており、本症例においても血糖コントロールをはかり、不随意運動の変化について意識しながらPTを継続していきたい。

著者関連情報
© 2009 東海北陸理学療法学術大会
前の記事 次の記事
feedback
Top