東海北陸理学療法学術大会誌
第25回東海北陸理学療法学術大会
セッションID: O-48
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脳卒中片麻痺者の下肢屈伸運動時間と最大歩行速度との関係について
*粕谷 昌範中橋 亮平大間 悠作村上 忠洋
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抄録

【はじめに】
 脳卒中片麻痺者における最大歩行速度に影響を及ぼす因子は,諸家により様々な観点で検討されている.今回我々は,下肢屈伸の協調運動を想定した下肢屈伸運動時間と最速歩行時の速度およびケーデンスとの関係について調査した.
【対象】
 脳卒中片麻痺者15名で平均年齢は66歳(50歳~81歳)であり,右片麻痺12名,左片麻痺3名,下肢の運動麻痺はBrunnstrom recovery stageにてIII-1名,IV-3名,V-2名,VI-9名であった.対象者の条件は,10m以上の歩行が監視もしくは自立にて可能なものとし,高次脳機能障害により指示の理解が困難なもの,2回以上の発作を生じたものは除外した.対象者にはあらかじめ研究の主旨について説明し同意を得た.
【方法】
 下肢屈伸運動はレールに沿ってベアリングの付いた板が滑走できる装置を用いて行った.対象者を仰臥位とし,足部を板に固定した状態で下肢屈伸運動を10cmと20cmの2条件でそれぞれ10回行った時間を計測した. また10mを最速で歩行させた際の歩行速度とケーデンスを計測した.最大等尺性膝伸展筋力は,等尺性筋力計を使用しベッド上端坐位にて計測した.
 解析はスピアマンの順位相関関係数の検定を用い,それぞれの相関関係について検討した.
【結果】
 10cmの麻痺側下肢屈伸時間と歩行速度(rs=-0.68),ケーデンス(rs=-0.58), 20cmの麻痺側下肢屈伸時間と歩行速度(rs=-0.68),ケーデンス(rs=-0.60)に有意な負の相関が認められた.
【考察】
 脳卒中片麻痺者の最大歩行速度に影響を及ぼす因子は,麻痺の程度や非麻痺側下肢筋力,麻痺側下肢筋力などが報告されている.しかし,今回の調査では両側膝伸展筋力と歩行速度,ケーデンスとの間に有意な相関は認められなかった.一方で麻痺側下肢屈伸運動時間は, 歩行速度およびケーデンスに関与していた.歩行中の麻痺側下肢は立脚期に伸展共同運動パターンが優位となるため,股関節屈曲への協調運動が阻害されると考えられている.今回計測した下肢屈伸運動時間はこうした協調運動の指標と考えられ,この障害によりケーデンスが減少し,歩行速度が低下すると考えられる.

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© 2009 東海北陸理学療法学術大会
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