東海北陸理学療法学術大会誌
第25回東海北陸理学療法学術大会
セッションID: O-49
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脳血管障害者の屋内監視歩行と屋内自立歩行の判別に関する指標の検討
*小林 美月南川 紗里矢代 真也久保田 将成田中 利典長野 俊彦岩砂 三平堀 信宏
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抄録

【目的】脳血管障害者の歩行自立度について判別分析を行った。任意に群分けを行った屋内歩行監視群(以下監視群)と屋内歩行自立群(以下自立群)の判別に寄与する因子抽出と、判別精度を明らかにすることを目的とした。明確な判断指標の存在しない歩行自立度に関して、有効な指標を探った。〈BR〉【対象】平成20年3月から平成21年1月に当院に入院した脳卒中片麻痺患者31名。平均年齢72.9±9.9歳。退院時の歩行自立度から監視群13名(男性7名、女性6名)と自立群18名(男性12名、女性6名)の2群に分けた。全ての対象者が測定に支障を来すほどの認知・高次脳障害を有していなかった。〈BR〉【方法】先行文献を元に以下の因子を選択・測定した。麻痺側機能としてStroke Impairment Assessment Set のHip Flexion、Knee Extension、Foot Pat、バランス能力としてBerg Balance Scale(以下BBS)、歩行能力の一部として10m最大歩行速度の5因子である。判別分析に先んじて、この5因子をT検定及びMann-Whitney検定により監視群と自立群で比較した。そこで有意差が認められた因子を独立変数とし、ステップワイズ法を用いた判別分析を行った。解析にはSPSS13.0Jを用いた。対象者全員に研究の趣旨と内容について十分な説明を行い、同意を得た。〈BR〉【結果】監視群と自立群間においてBBSと10m最大歩行速度に有意差を認めた。この2因子を判別分析に投入した結果、BBSのみが最終選択された。判別精度として正判別率は90.3%であった。〈BR〉【考察】監視群と自立群の判別にはBBS1因子のみ寄与し、判別精度が非常に高かった。丹羽らは本結果と同様に、バランス能力の評価が歩行獲得予測に有益である事を示している。セラピストの経験により判断されていた歩行の自立度に関して、バランス評価は有効な指標と考えられる。〈BR〉

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© 2009 東海北陸理学療法学術大会
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