主催: 東海北陸ブロック理学療法士協議会
【目的】脳血管障害者の歩行自立度について判別分析を行った。任意に群分けを行った屋内歩行監視群(以下監視群)と屋内歩行自立群(以下自立群)の判別に寄与する因子抽出と、判別精度を明らかにすることを目的とした。明確な判断指標の存在しない歩行自立度に関して、有効な指標を探った。〈BR〉【対象】平成20年3月から平成21年1月に当院に入院した脳卒中片麻痺患者31名。平均年齢72.9±9.9歳。退院時の歩行自立度から監視群13名(男性7名、女性6名)と自立群18名(男性12名、女性6名)の2群に分けた。全ての対象者が測定に支障を来すほどの認知・高次脳障害を有していなかった。〈BR〉【方法】先行文献を元に以下の因子を選択・測定した。麻痺側機能としてStroke Impairment Assessment Set のHip Flexion、Knee Extension、Foot Pat、バランス能力としてBerg Balance Scale(以下BBS)、歩行能力の一部として10m最大歩行速度の5因子である。判別分析に先んじて、この5因子をT検定及びMann-Whitney検定により監視群と自立群で比較した。そこで有意差が認められた因子を独立変数とし、ステップワイズ法を用いた判別分析を行った。解析にはSPSS13.0Jを用いた。対象者全員に研究の趣旨と内容について十分な説明を行い、同意を得た。〈BR〉【結果】監視群と自立群間においてBBSと10m最大歩行速度に有意差を認めた。この2因子を判別分析に投入した結果、BBSのみが最終選択された。判別精度として正判別率は90.3%であった。〈BR〉【考察】監視群と自立群の判別にはBBS1因子のみ寄与し、判別精度が非常に高かった。丹羽らは本結果と同様に、バランス能力の評価が歩行獲得予測に有益である事を示している。セラピストの経験により判断されていた歩行の自立度に関して、バランス評価は有効な指標と考えられる。〈BR〉