東海北陸理学療法学術大会誌
第27回東海北陸理学療法学術大会
セッションID: Y-15
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介護老人保健施設における入所者の栄養状態について
BMIと摂取エネルギー量の調査より
*東海  愛
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キーワード: 低栄養, 高齢者, 活動レベル
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抄録

【目的】リハビリテーション(以下、リハビリ)を施行する上で患者の栄養障害が問題視され始め、特に低栄養者への栄養状態を考慮したリハビリの調整が重要とされている。諸家の先行研究により、高齢者には慢性的な低栄養者が多いことや介護老人保健施設における低栄養者の割合は30~60%にのぼるという報告もある。しかしながらそれらの報告は栄養評価に血液データや骨密度などを使用しており、当施設で実際にそれらの栄養評価を行うのは困難である。そこで今回、当施設で可能な栄養評価法を用いて入所者の中の低栄養者の割合を把握するとともに、低栄養者に対しての今後の対応について考察を含めて報告する。 【方法】当施設を平成23年3月1日から3月31日までの期間に入所中であった89名(男性12名、女性77名、平均年齢85±14歳)を対象とした。主疾患の内訳は脳血管疾患25名、運動器疾患23名、アルツハイマー型認知症35名、その他6名であった。対象の身長、体重、BMI、摂取エネルギー量、活動レベル(寝たきりレベル・車椅子レベル・歩行レベル)をカルテより調査し、BMI18.5未満もしくは摂取エネルギー量が消費エネルギー量 (寝たきり:体重kg×25kcal、それ以外:体重kg×30kcalとした)以下を低栄養者として抽出した。消費エネルギー量の計算式は一般的に用いられているハリスベネディクトの式では高齢の日本人の規格に適応しない場合が多く、活動係数やストレス係数の判定が主観的になる為、簡便法として用いられているものを使用した。 【結果】対象89例中、BMI18.5未満は20例、摂取エネルギー量が基礎エネルギー消費量以下は18名であり、両者を併せ持つ対象は存在しなかった為、38例(42%)が低栄養者として抽出された。また、活動レベル別の低栄養者の内訳は歩行レベルが35例中16例(39%)、車椅子レベルが26例中12例(29%)、寝たきりレベルが28例中10例(32%)であった。 【考察】今回の調査により当施設入所者の42%が低栄養者として抽出された。これは先行研究とほぼ同じ結果であり、低栄養者の抽出にBMIと摂取エネルギー量は有効な栄養評価であり、リハビリ施行時に体重、摂取エネルギー量の変化を把握する事は栄養状態の把握に繋がると考えられた。今まではリハビリ施行する際、栄養状態に対しては特別意識する事は少なかった。しかし、慢性的な低栄養状態での積極的なリハビリは効果が少ない、もしくは逆効果という報告もあり、特に活動性の高い歩行レベルの低栄養者には栄養状態を考慮したリハビリの調整が必要と考えられた。具体的には現在、当施設では栄養状態や活動レベルを特別意識せず集団リハビリを施行しているが、対象によっては運動量が過負荷となる可能性がある。その為、集団リハビリは同程度の栄養状態、活動レベル同士の対象で行っていく必要があると考えられる。また、当施設のリハビリは週2回の場合が多く、対象に関わる頻度が少ない。その為、対象の状態変化に気付きにくい事が懸念され、状態変化を把握するためには他職種との連携を図っていく必要があると考えられる。例を挙げると、看護師には服薬状況や全身状態の確認、介護士にはケアの状況、食事摂取量の確認、管理栄養士には食事内容などを確認し、必要に応じてリハビリ内容の見直しや、日常生活での運動量や食事量の調整を行なう事が必要と考えられる。栄養状態の評価とそれに対する対応を施設全体でどのように行っていくかが今後の課題として考えられる。 【まとめ】当施設における低栄養者をBMI、摂取エネルギー量をもとに調査した。結果、当施設では低栄養者が40%程度抽出された。栄養評価としてBMI、摂取エネルギー量が重要と考えられた。今後の課題として栄養状態とリハビリの内容について他職種と連携し、適切な栄養管理とリハビリをどのように入所者に提供していくかが課題として考えられた。

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© 2011 東海北陸理学療法学術大会
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