東海北陸理学療法学術大会誌
第28回東海北陸理学療法学術大会
セッションID: P-76
会議情報

ポスター
下肢伸展挙上保持における腹部筋の筋厚変化 ―主観的保持しやすさとの関係―
*間所 昌嗣松村 純森 健太郎高坂 浩石井 健太郎藤井 亮介清水 砂希西 祐生米倉 佐恵神谷 正弘
著者情報
キーワード: SLR, 腹部筋, 超音波診断装置
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
【目的】 腰椎-骨盤ユニットは上部体幹から下肢へ又はその逆に下肢から上部体幹へ荷重伝達する機能をもち、体幹深部筋である腹横筋はその重要な役割を果たしているといわれている。臨床上よく用いられる、自動下肢伸展挙上において、挙上しやすさの左右差を訴える事がある。挙上しやすさの違いの一因として、体幹深部筋の関与が考えられるが、その筋活動における詳細な報告は少ない。そこで今回、下肢伸展挙上(Straight Leg Raising, 以下SLR)保持時における、腹部筋の活動が主観的保持しやすさと関与するかを検討した。
【方法】 対象は研究に同意が得られた健常成人男性8名(年齢28.9±1.4歳、身長176.0±2.5㎝、体重65.1±2.8㎏)とした。被験者は、現在腰痛を有するものを除外した。測定機器は超音波診断装置(HIVISION Preirus、日立メディコ)を使用した。6-14MHzの可変式リニア型プローブを使用し、周波数は7.5MHzとした。対象筋はSLR保持時の非挙上側の腹横筋、内腹斜筋、外腹斜筋とし、測定部位は非挙上側の前腋窩線における肋骨辺縁と腸骨稜の中央部とした。その位置にマーキングを行い、プローブ位置を統一した。測定はSLRを左右2回ずつ行うこととし、検者が他動的に30°まで挙上した後、被験者にその位置で保持させた。測定後、被験者に左右どちらが保持しやすかったかを確認した。筋厚の静止画像の抽出は安静呼気位に統一し、安静時とSLR保持時の筋厚を同機器の計測機能を利用し0.01㎜単位で計測した。統計学的分析として、安静時と保持しやすい側と保持しにくい側のSLR非挙上側の平均筋厚を対応のあるt検定を用いて比較した。有意水準は5%未満とした。
【結果】 保持しにくい側(10.53±1.29㎜)において非挙上側の外腹斜筋のみ、安静時(8.07±1.51㎜)に比べ有意に平均筋厚が高値を示した。保持しやすい側ではすべての筋群において有意差を認めなかった。
【考察】 本研究の結果より、主観的な保持しやすさ、しにくさと腹部筋の活動に関連性があることが示唆された。SLR保持がしにくいと感じる場合には非挙上側の外腹斜筋の筋厚が安静時と比べ厚くなることがわかった。SLR保持には、骨盤の下肢挙上側方向への回旋モーメントが生じるが、保持しにくい側では外腹斜筋の収縮が主となりこのモーメントに対応していたと考えられる。また腹部筋は下肢の運動時に重要な役割を果たしていると考えていたが、今回、保持しやすい側の腹部筋厚で差がみられなかったことから、他の要因で体幹の安定性を得ていたことが示唆された。
【まとめ】 SLR保持時の主観的保持しやすさには腹部筋の筋厚に差はなく、保持しにくさには外腹斜筋の筋活動が関与している可能性が示唆された。
著者関連情報
© 2012 東海北陸理学療法学術大会
前の記事 次の記事
feedback
Top