東海北陸理学療法学術大会誌
第28回東海北陸理学療法学術大会
セッションID: O-10
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一般口述
心拍-運動リズム間における同期の 結合度と生体反応の関連性の検討
*岩ヶ谷 佳那西田 裕介
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キーワード: 同期現象, 結合度, 生体反応
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抄録
【目的】 心拍-運動リズム間の同期現象(CLS)は、運動リズムが心拍リズムを調節するという特徴から、運動に対する心臓の反応を示すものとして理学療法評価に用いることができる可能性がある。CLSの結合度は、位相コヒーレンス値を用いることで定量的に評価することができる。したがって、位相コヒーレンス値の変化が何を反映するのかを定義することができれば、CLSの評価指標としての有用性が高まると考えられる。また、我々は先行研究において、運動が体循環に与える影響の少ない足関節自動運動でCLSが発生することを示した。そのため本研究では、足関節自動運動を用いてCLSの結合度と生体反応の関連性を検討した。
【方法】 対象は、非喫煙者で呼吸循環器疾患や足関節疾患の既往のない健常男性16名(年齢:22±3歳)とした。対象者は背臥位となり、8拍毎の平均心拍数のブザー音に合わせて、利き足で5分間の足関節底屈自動運動を行い、CLSを発生させた。負荷強度は足関節底屈最大随意収縮力(MVC)の10%とした。CLSの発生に伴う生体反応を確認するために、測定肢の腓腹筋の筋血流量(Total Hb)を測定した。CLSの結合度は、CLSの発生が安定した2分間の位相コヒーレンス値の平均値を算出して求めた。統計学的分析として、位相コヒーレンス値と筋血流量の変化量との関連をPearsonの積率相関係数を用いて検討した。有意水準は危険率5%未満とした。本研究は、聖隷クリストファー大学倫理委員会の承認のもと実施し、対象者には口頭ならびに書面にて同意を得た。
【結果】 16名中12名の対象者でCLSが発生した。位相コヒーレンス値と筋血流量の関係は、位相コヒーレンス値が高い対象者ほど筋血流量が増加するという、正の相関関係を示した(r=0.70, p<0.05)。
【考察】 CLSの生理学的作用として、心臓収縮期と筋弛緩期が同期することにより、筋内圧が低いときに筋血管に血液が流入するため、活動筋の血流量が増加することが報告されている。本研究では、心拍リズムと運動リズムを1:1で同期させたため、心臓収縮期と筋弛緩期が一致して筋血流量が増加したと考えられる。位相コヒーレンス値が高い対象者ほど筋血流量が増加した要因としては、結合度が強いほど2つのリズムの不一致が少なく、適切なタイミングで活動筋へ血液が流入したことが考えられる。位相コヒーレンス値と筋血流量の関連性から、CLSの結合度が強い人は活動筋への血液供給が十分にでき、循環効率が良いと考えられる。したがって、CLSの結合度が示す生体反応は循環効率の良さであると示唆される。
【まとめ】 位相コヒーレンス値が高い対象者ほど筋血流量が増加したことから、CLSの結合度が示す生体反応は循環効率の良さであることが明らかになった。この成果から、10%MVCの足関節自動運動によるCLSの結合度を用いて、循環効率の程度から運動に対する心臓の反応を評価できることが示唆された。
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© 2012 東海北陸理学療法学術大会
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