学術の動向
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新たな地球観への挑戦 ―地球惑星科学の国際学術組織の活動と日本の貢献―
地図という情報コミュニケーション基盤を考える
──国際地図学協会 (ICA) の役割
森田 喬
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2021 年 26 巻 8 号 p. 8_52-8_55

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抄録

 地図は空間の縮小表現モデルであるが、地表のカタチを表すだけでなく主題図として地表上に生じる諸現象をベースマップ上に展開させて表現することができる。これを通して空間に関する諸課題への科学的探究に資するとともに日常的な社会生活の向上にも貢献している。地図は文字が無かった時代から存在しているが、1500年頃の文芸復興期以降には科学的方法に基づいて地図が作られるようになり、現代に入り国際交流が飛躍的に増大するなかで1959年に国際地図学協会(ICA)が発足した。ICAは、隔年に国際地図学会議(ICC)を世界各地で開催しているが、日本は1980年と2019年に同会議を招致している。SDGsの諸課題は、適切に地図化すると国際的な共通理解が得られる可能性がある。ICAでは国際連合と共同で標準的な表現方法について指針書を提案している。これは国際的な共通のコトバとしての地図言語の標準化の勧めであり同時に地図リテラシーの普及と向上の促進を企図したものである。

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