学術の動向
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チバニアン, 学術的意義とその社会的重要性
理科教科書に於けるチバニアンの取り扱いについて
川辺 文久
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2022 年 27 巻 11 号 p. 11_84-11_88

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抄録

 小・中学校理科と高等学校「地学基礎」の教科書が、千葉セクションの露頭写真を掲載してチバニアンを説明している。小学校6年理科では地球の歴史の時代を分ける国際的な基準となる地層が国内に存在することを紹介し、中学校1年理科では地質年代の細分や地磁気に言及した「発展的な学習内容」としての記述である。「地学基礎」では、千葉セクションが前期/中期更新世の境界の目安となる地磁気逆転の痕跡を世界中で最もよく保存する地層であることを解説し、地磁気逆転境界の約1 m下位の火山灰層がチバニアンの基底であることを明示している。各校種のチバニアンの教科書記述は、地層に記録された過去の出来事によって地球の歴史が区分されることを理解するにあたって、児童・生徒の学習段階を考慮した適切かつ効果的な扱いである。チバニアンが教科書の題材に加わったことで、日本に暮らす人々の地学の素養が高まると期待される。

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