2022 年 27 巻 11 号 p. 11_89-11_93
今回のチバニアン設定は、SDGs実現の後押しとなり、新たな地学教育の方向性が見えてくるのではないかと期待している。高等学校「地学基礎」ではSDGs実現に向けて様々な試みがなされている。そもそもSDGsは1960年代以降の地球環境悪化により、国際機関で定められた目標である。この現代の問題をより良く理解するためには、過去の地球環境を知ることも重要である。チバニアンの期間はミランコビッチサイクルの10万年周期に特徴づけられ、この周期性は大気CO2 濃度のキーリングカーブでも見ることができる。キーリングカーブには、1960年代以降のかつてない急激な上昇が認められる。チバニアンの終わりごろの現生人類の出現と拡散は、10万年周期の地球環境の変化と関わりがありそうである。キーリングカーブを通じて、地球環境の変化、そして悪化を理解することが重要であり、これは新しい地学教育になるのではないか。