学術の動向
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歴史認識と植民地責任
総括と展望
栗田 禎子久保 亨
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2022 年 27 巻 12 号 p. 12_74-12_75

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抄録

 諸論考の内容を総括し、アジアにおける歴史認識の問題を考える際に「植民地責任」という視角を導入することで開ける新たな展望、取り組みの可能性について論じた。近年世界的な潮流となっている「植民地責任」の視座に立つことにより、①戦争や植民地支配の問題を世界史的文脈に位置づけ直し、その克服の普遍的・人類史的重要性を認識できるようになること、②この問題は長いスパンで粘り強く取り組まねばならないものであること(2001年の国連「ダーバン会議」は人種差別解決のためには奴隷交易・植民地支配の過去全体を検証する必要があると提起)が明らかになることを指摘し、③矛盾の根本的克服のためには、政府間・国家レベルでの真摯な対話、公正な解決に向けての模索が求められると共に、個人の尊厳の回復、人権やジェンダーの観点からのアプローチも不可欠であることを確認した。さらに、植民地責任の追及を阻んできたさまざまな要因(冷戦期の国際政治の構造など)や、問題克服のために今後市民社会が取り組むべき課題についても論じている。

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© 2022 公益財団法人日本学術協力財団
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