抄録
植物工場施設の大規模化に伴い,温度分布の不均一性や時間変動が発生するリスクが高まる.このため,植物の高い温度感受性に着目し,温度変動の影響を定量化する研究が求められている.そこで本研究では,レタス発芽期の温度感受性を,概日リズムの集団同期現象を指標として定量化することを目的に行った.実験には,遺伝子組換えグリーンウェーブレタス(AtCCA1 :LUC)を用い,レタス種子の発芽期における概日リズムを計測することで,個体間の概日リズムの同期率を解析した.その結果,温度の周期的変動や急激な低下によって,個体間の概日リズムが集団同期することが明らかとなった.これにより,植物工場において概日時計の計測に基づいた生育のモニタリングや苗の生育診断を行う際には,空調による温度制御には十分注意しなければならないことが示唆された.