機能性流体に使用する蓄熱粒子のナノサイズ化は,凝集や合一化による分離等の欠点を生じる.このため,ナノ粒子懸濁液を凝集が生じない低濃度で保存し,使用の際に任意の濃度まで濃縮する凍結濃縮法に着目した.本研究では,ナノシリカ粒子懸濁液の粒子径および初期粒子濃度が凍結・凍結濃縮現象におよぼす影響について実験的に検討し,シリカ粒子径の減少によって過冷却度の増大と低凝固速度での氷結晶構造の拡大を測定し,さらにシリカ粒子の結晶粒界付近の偏在を確認した.一方,界面前進凍結法によるシリカ粒子懸濁液の凍結濃縮実験より,シリカ粒子のナノサイズ化は撹拌条件では凍結濃縮現象に影響しないが,無撹拌条件では沈殿現象を抑制し,適切な凝固速度下にて凍結濃縮を行えば,マイクロ粒子よりも高い凍結濃縮効果を得られる可能性があることを確認した.