2015 年 32 巻 3 号 p. 255-261
本論文では,圧縮機運転中におけるモータ巻線とステータの間の浮遊静電容量と,その時その空間に存在する冷媒と潤滑油の平均的な比誘電率を推定する方法を提案する.提案法では,特別な実験装置やセンサを用いず,インバータエアコンの接地線に流れる漏れ電流波形から等価回路パラメータを同定し,さらに冷媒と潤滑油が封入されていない圧縮機用モータの浮遊静電容量との比較から比誘電率を求めて,これを実現している.そのため,この方法は圧縮機内部の状態と浮遊静電容量ならびに比誘電率との関係を検討することにも利用でき,これらの推定値はエアコン用圧縮機駆動システムの電磁妨害 (EMI)の検討や設計に有効である.