抄録
近年,排熱回収システムにおいて,顕熱蓄熱と比較して単位容量当たりの蓄熱容量が大きな潜熱蓄熱が実用的なシステムとして注目されている.特に酢酸ナトリウム水溶液は,過冷却時の安定性や高い蓄熱量が注目され,建材や給湯器に利用できる蓄熱材として応用研究がなされている.一方,過冷却状態の酢酸ナトリウム水溶液は,凝固開始時期・凝固開始位置の予測が困難であり,実用化への障害になっている.そこで本研究では,酢酸ナトリウム水溶液の過冷却能動制御に関して,電圧印加に着目し,比較的低過冷度の水溶液において電圧印加実験を行った.その結果,電圧印加が一定の効果を及ぼしていることを定量的に突き止め,かつ電圧印加による凝固現象のメカニズムについて考察した.