2017 年 34 巻 4 号 p. 377-
電子機器除熱用サーモサイフォンの性能向上には,面積が限られる沸騰伝熱面の高性能化が重要な設計因子である.本実験では,フィン加工,ならびにLISS 加工(レーザーによる表面性状制御)を施した銅製沸騰伝熱面を用いた場合の,R1234ze(E)を作動流体とするサーモサイフォンの除熱性能を測定し,その効果を評価した.これらの加工を施した沸騰面を用いることで,1.4 mm 角のCPU からの投入熱流束約1350 kWm-2 まで,CPU 表面温度を80 °C 以下に抑えられることを示した.R1234ze(E)の有効キャビティ径が数m のオーダーであることから,LISS 加工面が特に核沸騰発達域で高い熱流束を達成し得るが,加熱履歴の影響が顕れることを確認した.