空調冷熱用圧縮機では運転範囲の上限拡大が求められている.上限拡大の設計には2 通りあり,行程容積の拡大では冷媒の圧縮荷重増大に伴ってすべり軸受の荷重が増大する.一方,高速化では油膜のせん断発熱による冷凍機油の粘度低下に起因してすべり軸受の負荷容量が減少する.ところで,すべり軸受を潤滑する冷凍機油には冷媒が溶解しており,温度と圧力条件によって冷媒溶解度と溶解粘度が変化する.高負荷,高回転数領域では摩擦熱や冷媒溶解による粘度変化が無視できなくなる.そこで,軸受油膜の温度および冷媒溶解度に起因する溶解粘度の変化を捉えた熱流体潤滑解析モデルを構築し,冷媒溶解度・溶解粘度の変化が軸受特性に及ぼす影響を明らかにした.