2019 年 36 巻 4 号 p. 339-
中低温の未利用熱利用に適した熱媒体として,潜熱蓄熱材であるエリスリトールとその水溶液からなるエリスリトールスラリーを提案する.流動様相や固相率が流動特性に及ぼす影響について実験的に検討を行った.実験では,水平に設置されたステンレス管にエリスリトールスラリーを流し,圧力損失を測定した.管摩擦係数の実験値はすべてのレイノルズ数でポアズイユ流の理論式やブラジウスの式と比較すると大きく,特に層流での差異が大きいことが確認された.この差異について,レオロジーモデルを用いて検討したが,明確な原因を示すことはできなかった.また,層流域において分離流れになることを考慮した新たな管断面モデルを適用したところ,管摩擦係数と理論値との差異が小さくなった.流動様相がエリスリトールスラリーの流動特性に及ぼす影響は無視できないことが示唆され,分離流れを考慮したモデルを適用した流動特性評価が有効であることがわかった.